・ごはんのじかん---reno・
二人揃って寝坊した朝は慌しい。
珍しくルードが寝坊した朝、そのルードにたたき起こされたばかりのレノが、手早く身支度を整えて食卓にやってきてみると、二人分のトーストが丁度焼けている所だった。
洗面所でばたばたと支度を続けているルードがセットしておいてくれたものなのだろう。ありがたく狐色のトーストを口に含んで、頬張りながら冷蔵庫へ向かった。コーヒーを入れる時間も惜しい今はコップ一杯のミルクで我慢するしかない。
トーストを咥えたままパックからミルクをコップに注いで、その場でがつがつとトーストを平らげた後、一気に喉にミルクを流し込んだ。
ぷはー、と止めていた息を吐き出して、そのまま電磁ロッドを掴んで外へ出ようとしたところで、ルードとかちあった。
この忙しい朝でもいつもと変わりない姿にきちんと身支度を済ませているルードに、レノは相変わらずしょうもねー奴、と笑ってみせる。
「レノ」
呼ばれて顔を上げると、キスをするようにルードが顔を寄せてきた。そんな暇なんかねーだろ、と抗議する間もなく舐められる唇の上と口の端。まるで母親が幼い子どもにそうするように、レノの口の周りを汚していた食べ物を舐めとってみせるルード。
「パンとミルク。顔ぐらい洗ってきたらどうだ」
からかうように小さく笑ったルードに、レノは一気に顔を赤くした。
「なにしやがんだこのハゲ!タコ!んなもんわかってんだよ!」
「わかっていてそのまま出社しようとしてたのか?パンくずとミルクを口の周りにつけて、寝ぼけ眼。タークス一の色男が聞いて呆れる」
「ふっざけんな!元はといえばてめーが寝坊したのが悪いんだろ!」
「いい年して一人で起きられないお前の方がどうかしてるんじゃないのか」
「うるせー!大体お前が……」
「電車、次も乗り遅れるぞ」
「やっべ…っ」
慌てて玄関を飛び出すレノに、ルードも続いて駆け出した。
トーストとミルクの朝食も、たまには悪く無い。
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